スタジオ撮影経験のあるプロフォトグラファーであれば、何らかの形で、白の背景を使って撮影したことはあるでしょう。スタジオ撮影を始めたばかりのアマチュアもしくは趣味のフォトグラファーも、白背景が必要になる日が来るでしょう。白背景は「パン&バター」な商品であり、欠かすことの出来ない撮影機材のひとつです。
では、なぜ「白」か?
長年に渡って、商品撮りやカタログ撮影等には、白が背景色の規準と認識されています。白は対象物や他の色・模様を邪魔にならない明るいニュートラルなカラーリファレンスとなります。また、印刷やウェブ用画像としての使用時にとても使いやすい色です。そして、白は非常にフレキシブルです。目的に応じて、ライティングのセットアップや撮影後の編集次第で、影と色を容易に変更できるからです。
この記事では、サベージが提供する3種類の白について、異なるライトセットアップを用いて説明します。作品によってどの白がベストか、ライトセットアップの効果の違い等参考になれば幸いです。
悩み
よく言われる4~5のライトソースを用いて行う従来のセットアップ方法を読むと、作品にインパクトを与える白背景紙のセットアップは頭を悩ませるかもしれません。よく考えてみましょう。皆さん、そんなにたくさんライトをお持ちですか?特に移動が多い方は、荷物を小さ目につくるために難しいでしょう。
サベージからは#1スーパーホワイト、#66ピュアホワイト、#50ホワイトの3種類の白背景紙があります。#50ホワイトが3色の中で一番暖かみのある色で、#66ピュアホワイトと#1スーパーホワイトは完全にニュートラルな色です。違いは、#66ピュアホワイトは、UV光沢剤が含まれているだけですが、#1スーパーホワイトにはUV光沢剤が含まれており且つ、よりきめが細かいです。
セットアップ
各白背景紙のより正確な比較のために、同じライトセットアップ(バックライトあり・なし)でインカメラ設定の同じデイライトカラーバランスにて撮影を行いました。また、限られた環境を再現する為に、コンパクトなスペースで撮影をしています。使用した背景紙は全てハーフサイズ(1.36 m)です。
ライトセットアップはキーライト1灯+バックライト2灯です。手持ちが1~2灯の方にも、1~2灯のスペースしかない方にも参考いただけるように、なるべくミニマルに抑えています。キーライトには28インチ(約71 cm)のビューティーディッシュにディフューザーソックを使用。バックライトはブームスタンドに80°リフレクターを付けています。
お持ちのギアによって、ストリップのソフトボックスを使うか、バックライトにグリッドスクリーンを追加し、ヘアーライトとしてモデルの頭上に背後から当てることをお勧めします。
キーライトをバタフライやパラマウントスタイルライティングパターンでセットしたことがありますが、バックライトなしのシングルライトセットアップにはとても効果的です。小さなスペースでの撮影では、背景紙とモデルの間隔を約4フィート(約1.21 m)、モデルとキーライトの間隔を約4フィート(1.21 m)とします。
この距離が白背景紙に、キーライトからのグレー過ぎない、いい感じの明るいスピルライトを提供します。この状態にバックライトを追加すると、背景紙を飛ばし、意図的な真っ白が手に入ります。カタログ撮影や複合グラフィックの製作の際、編集の時間短縮となり、理想的です。欲を言えば、バックライトを2灯にし、モデルと背景紙間の距離を少々足せると更にくっきりします。ですが、今回のデモは、あくまで最高でも2灯の使用までです。
ヒント:
ライトソースがバックライトなしの一つの場合、アクセサリーとモデル・背景紙・ライト間の距離の判断はとても大切です。影の少ない広いライトスピルを作り出すオクタボックス、ソフトボックス、アンブレラ等の大き目のディフューザー付きライトソースでの撮影は効果的です。しかし、ライトソースとモデル、背景紙の距離を近く設置する必要があります。
距離があると出来上がりにグレーみが生じます。個人的には、28インチ(約71 cm)ビューティーディッシュが見栄えあるライトを実現し且つ、ダイレクトでソフトなので好きです。ところが、セットアップに関係なく、ライトソースが1つの場合は、何色の背景紙を使用しても完璧な白にはなりません。編集なしで完璧な白を実現するにはバックライトは必須です。
#1スーパーホワイト・バックライトあり
#1スーパーホワイト・バックライトなし
#66ピュアホワイト・バックライトあり
#50ホワイト・バックライトあり
サベージ背景紙#1スーパーホワイト使用:
#1スーパーホワイト・バックライトあり
#1スーパーホワイト・バックライトあり
#1スーパーホワイト・バックライトなし
#1スーパーホワイト・バックライトなし
サベージ背景紙#66ピュアホワイト使用:
#66ピュアホワイト・バックライトあり
#66ピュアホワイト・バックライトあり
#66ピュアホワイト・バックライトなし
#66ピュアホワイト・バックライトなし
サベージ背景紙#50ホワイト使用:
#50ホワイト・バックライトあり
#50ホワイト・バックライトあり
#50ホワイト・バックライトなし
#50ホワイト・バックライトなし
ベストな使用
#1スーパーホワイト
・商品撮り、全身撮りに最適
・ワイド幅(3.55 m x 15 or 30 m)※ご購入時は要相談
・バウンスライトと相性抜群
・蛍光染料含む
・バックライト使用で、真っ白な背景に
注意:
・バックライト不使用時またはモデルと背景紙の距離が大きい際に、
#1スーパーホワイトは青みがかることがあります。
・#1スーパーホワイトは他の色と比べ坪量が大きいため、より堅く、若干厚みのある紙です。・ニュートラルトーン
・ヘッドショットからポートレートや商品撮りまで幅広く対応・バックライト有無に関わらず優秀
・完全な白背景が必須でないヘッドショットやポートレートに最適
・暖かい白色は肌の色に合います・“オフホワイト”としても対応可
足跡を避ける
モデルを背景紙上に立たせるフルレングス撮影の際は、背景紙を切って、モデルが立つ位置に敷きます。テープで固定し、滑らないようにします。紙の境目はほぼ気にならないはずです。
特にバックライトがあれば、境目は飛んで真っ白になります。敷いている紙が足跡等で汚れてしまった時は、返して裏側を再利用するか、再度切って新たに敷きます。
~スペシャルサンクス~
モデル:Brielle Bishop氏、ヘアメイクアップ:Double Take Artistry、
スタイリング:Amelia Walsh氏
撮影・著:Ryan Walsh氏
●ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
(株)テイク TEL: 03-5159-4711 mail:info@takeinc.co.jp
※こちらの記事はSAVAGE社の了承を得ましてテイクで翻訳しております。
by TAKEINC
| 2018-07-02 13:03
| コラム